Designers
ラミーのプロダクトデザイナー
バウハウスの影響、そしてその後
プロダクトデザインは社内の専門部門で行うべきか? それとも外部のデザイナーに依頼するか? こうした事柄は、ラミーにとってはまったく問題になりません。
ラミー新時代の最初の筆記具は、フリーランスのデザイナーとのジョイントプロジェクトによって生まれました。そのデザイナーとはバウハウスに影響を受けたデザイナーの一人、ゲルト・アルフレッド・ミュラーです。ラミーが新しいデザインのスタイルを確立し、そのスタイルを何年にもわたって引き継いでいくにあたり、彼を選んだ理由は、彼が生み出した製品を見ればおわかりいただけるでしょう。
1970年代までにラミーでは、フリーランスのクリエイティブ精神と、社内のデザインに携わる者との考え方の違いを互いに交換し、刺激し合うことにより、さらなるクリエイティビティを生み出すことに成功しました。やがて他のプロダクトデザイナーやデザインスタジオにまで波及していく、このような外部クリエイターとのコラボレーションは、ラミーにとって貴重な経験となったのです。
Gerd A. Müller
今日のラミーのモダンデザインを意識したものづくりのデザインの基礎を築いた人物。独学で得たデザイン哲学はドイツデザインムーブメント、バウハウスを継承した機能美の追及で、その実用を兼ね備えたシンプリシティは時代が変わろうとも色褪せません。1991年に亡くなりましたが、彼のラミーでの功績は その後もずっと生き続けています。
以下が彼のデザインしたモデルです。
LAMY 2000 | cp1 | st | unic
Richard Sapper
ミュンヘン生まれ。世界でも著名な、デザイン界の巨匠の一人です。彼のデザインは、ドイツ的な精密さにラテンの味付けを施した、洗練されたもの。このデザインコンセプトは、移住先のミラノで大きく開花しました。
彼の哲学は、優雅なデスクランプ「Tizio」やIBMの「think pad」、Alessiの歌うケトルをはじめ、数々の家具や時計、キッチン家電など多数の作品に現れています。
ラミーでは「dialog 1」をデザインしました。
Knud Holscher
ナッド・ホルシャー
1930年、デンマーク生まれ。1950年代に建築の学位を取得した後、建築関係のみならずプロダクトデザインの分野でも活躍。数多くの受賞歴を誇ります。世界的に成功している「d line コレクション」によるドアノブや、ワードローブシステム、Ercoの「Quinta スポットライトシリーズ」などは、彼のデザインの特徴である“ビジュアルと実用性の調和”を端的に表しています。
アルネ・ヤコブセンのもとで働いた後、デンマークでも由緒あるKrohn & Hartvig Rasmussen建築事務所を経て、1995年に自身の会社を持ちました。
ラミーのために「dialog 2」「pur」をデザインしました。
Franco Clivio
1942年、スイス・Schulen生まれ、ウルムの造形大学で学んだ後、ErcoやFSB、Gardena、Rodenstock、Siemensなどの企業の製品を主に手がけ、プロダクトデザイナーとして国際的な受賞歴も豊富です。現在はベネツィアのIUAV大学やチューリッヒのデザイン大学でプロダクトデザインを教える他、アメリカ、ドイツ、フィンランドでも非常勤講師として活動しています。
クリヴィオ氏は「pico」のデザインを手がけました。
Hannes Wettstein
1958年、スイス・アコーナ生まれ。コーポレートデザインや建築スタイリングを専門に行っています。1990年代はアムステルダムやハノーバー、バーゼル、ミラノなどで講義やアカデミーを主宰してきました。1994年から2001年はカールスルーエのデザイン大学で教鞭をとっていました。
彼の会社「zed」は、哲学、美学、倫理、経済、エコロジー、精密性、現実性を基本の理念とし、数々のブランドを開拓、ブランドイメージを作り上げることに成功してきました。「Zed」のネットワークには、さまざまな分野のデザインに携わるエキスパートが多数、属していることでも知られています。
ラミーでは「scribble」と「studio」をデザインしました。
Wolfgang Fabian
1943年生まれ。工業デザインを勉強するまでは、優秀な金細工職人でした。「ファビアン インダストリアルデザイン」を率い、1981年より、高い技術に裏打ちされた製品を世に送り出してきました。彼らが手がけた商品は国際的にも評価が高く、数々の受賞歴を誇ります。
ファビアン氏によるラミー製品は以下の通りです。
agenda | AL-star | logo | pickup | safari | spirit | swift | tipo
Naoto Fukasawa
深澤直人/プロダクトデザイナー
卓越した造形美とシンプルに徹したデザインで、国内外の企業のデザインを多数手がける。電子精密機器から家具、インテリアに至るまで手がけるデザインの領域は幅広く多岐に渡る。デザインのみならず、その思想や表現などには国や領域を超えて高い評価を得ている。英国王室芸術協会の称号を授与されるなど受賞歴多数。
2018年、米ニューヨークのノグチ美術館(The Noguchi Museum)が創設した第5回「イサム・ノグチ賞」を受賞。多摩美術大学教授。日本民藝館館長。
ラミーの「noto」は、深澤氏がその実力を筆記具の世界で発揮した、非常にユニークな製品です。
Andreas Haug
1945年、ハイデンハイム生まれ。ダイムラーベンツで市場および技術の研修生としてキャリアをスタートさせ、1968年から1972年にかけてはシュトゥットガルトのナショナルアカデミー・オブ・ファインアーツでデザインを学びました。
1972年、外部機関では初めてEsslingerのデザインを手がけ、1982年から1984年にはfrog designの役員株主となり、後にデザインコンサルタント、1984年には副社長に就任。1987年には、トム・シェーンヘルとともに「Phoenix Product Design(フェニックス・プロダクトデザイン)」を立ち上げ、数々の国際的なデザイン賞を受賞してきました。
フェニックス・プロダクトデザインは以下の製品を手がけました。
accent | 4pen | smile
Mario Bellini
1935年イタリア生まれ。現代建築の巨匠と言われる彼はミラノ工科大学で建築を学んだ後、オリベッティ社のデザイン顧問に就任。
インダストリアル・デザイナーとして、Cassina社の家具、Artemide、FLOSの照明など多数の家具デザインの名作を生み出しました。コンパッソドーロは8回の受賞歴を持ち、イタリアデザイン界における伝説の名士です。
ラミーでは「imporium」をデザインしました。
Jasper Morrison
1959年ロンドン生まれ。ロンドン王立芸術学院を卒業後、ベルリンにてデザインを学び、1986年にデザイン事務所Office for Designを設立しました。世界レベルで影響力のあるプロダクトデザイナーの1人。活動領域は幅広く、家具や照明・公共空間等のデザインを手掛けています。
オリジナリティと実用性、さらにアート性までも融合することで、現代で世界の中でも高く評価されています。〈スーパーノーマル〉と表現される、控えめなフォルム、高い機能性、構築的なシンプリシティが、高い支持を受けています。
ラミーでは「aion」を手がけました。